鴨とアヒルのコインロッカー
読書動機
重力ピエロに引き続き2作品目の伊坂幸太郎先生作品。
伊坂作品の中でおすすめを聞いたところ、ミステリー好きなら読むべきと言われて購入。
感想
読み終わって1番初めに思ったのは、タイトルの付け方が秀逸。
最後まで読み終わってようやく意味のわかる表題になっているんだと理解できた。
話は現在と過去をそれぞれで進行していく。現代では既に過去のストーリーが起きた後の世界であり、出てくる登場人物は一定程度同じであるので、過去のストーリーが結局どうなったか、というのはとても気になっていた。
ただしこの同一の時間軸が最終的にどんでん返しのきっかけになる。
どんでん返し系の小説を読んでいると、まんまと騙された!という驚きとちょっとうれしい気持ちと、同時にどれだけ自分が固定観念を持っているのかがよくわかる。
作中のアヒルと鴨という表現は、「外国人」らしい所作で人を判断する日本人の差別的な面が象徴されているようで、心が痛くなった。
重力ピエロでも思ったが、著者の作品は、登場人物の感情がとても落ち着いている(ように見える)ので、読んでいて臨場感のようなものはとても少ない。
だがその分読み手の感情が重ねやすく、どの登場人物にも共感のようなものが芽生える。(ペット殺しの犯人の様な登場人物は別だけど・・・)
個性的な世界観というか文体であると思う。
また結末もあまり起伏がないので、後は読み手の判断に任せられるような作品であった。
今後につながること(まとめ的なもの)
2作品読んでみて、独特の伊坂ワールドを体験することができて良かったので、また別の作品も読んでみたいと思っている。
ただ伊坂先生も、村上春樹先生同じで、ある程度文学や哲学の教養を持って読むとまた印象や理解が変わってくるのかなと感じている。
作品を楽しむために、そういった知識も併せて勉強していきたいと思った。
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