社会人の読書感想文

読んだり聞いたりした本の感想などを自由にかいてます。

海辺のカフカ

 

読書動機

とても著名な作家の代表作品の一つであり、一度ちゃんと読んでみようと思っていた作品。

 

感想

著者の短編小説は読んだことがあったが長編小説は初めてである。

短編でもなかなか比喩的なことが多くて難解な作品が多いと感じていたが、(それ故、少し敬遠していた。。。)本著書は同じ難解なところが多いものの、次の展開が気になり、物語に入っていきやすくてグイグイ読めてしまった。

ただ、戯曲の引用やクラシックの知識が必要であったりと、ある程度教養がないと完全に意味を理解できないような気がするし、物語を味わい尽くすことができないのではないかと思い、自分にはそこがもったいないような気持ちになった。

 

特に印象的なのは、登場人物のセリフが哲学的で深いものが多かったことである。

もし蛍光ペンで印をつけたら好きなセリフに、かなり色がつくのではと思う。

特に好きな言葉はカーネル・サンダースの「すべての物体は移動の途中にあるんだ。(中略)全ての物事は液状的で多角的なものだ。1つの場所に1つのフォルムで永遠にとどまるものはない。宇宙そのものが巨大なクロネコ宅急便なんだ。」

全体的に事象の本質を悟っている人が多かった気がする。

 

物語は予言から始まる。作中でも触れられているが、はじめは神話のような展開だという印象であった。読み進めていくうちに、別の時代や場所へ舞台が移り、次の展開が予測できずにすっかり熱中してしまった。そして最終的には2人の主人公の別々だった展開が一つに集約されていく様が、読んでいて気持ちよかった。

登場人物も個性的であり、全員に何かしらの秘密がある。また、ファンタジーと現実の境目を行ったり来たりすることで、現実的なもの以外にも幾重にも秘密についての考察をふかめていくことができた。

個人の見解であるが、例えば、口は悪いが、ナカタさんを助けてくれたカーネル・サンダースは、人ではないといっていたので、なにか「運命を良い方向へ転換するもの」のメタフォジカルな存在であり、ジョニー・ウォーカーは反面、現実の生き物(猫たち)から命を奪い、ナカタさんに自分の命を奪わせることで、罪を植え付けている。「悪」のメタフォジカルな存在であるようだ。

登場人物の中では、淡白な人が多い中、星野青年は愛嬌があり、人間らしくて好きになった。

 

今後につながること(まとめ的なもの)

著者の作品はあまりにも有名なものが多い。短編小説のみで食わず嫌いしていたことを少し後悔している今、別の長編小説にも挑戦してみたいと思う。

1Q84を未だに途中で積んでいるのでそれだろうか・・・?)

ただ今のところ、ほぼすべての作品に長い性描写があり、毎作品そこがなにかの隠喩?なのか謎である。笑  若干外で読みづらいところが難点かも。

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